灰色の地に多数の色と線を重ね、ロシア時代の複雑な構成を示す作品。
何が描かれているか
灰色を基調とする画面に、赤、黄、青、緑の形が密に集まっています。太い黒い弧や短い線、小さな色面が重なり、左上の黒い曲線は大きな存在感があります。はっきりした物を見つけようとしても、隣の形へ次々に目が移ります。灰色は何もない空白ではなく、明るい色を受け止める地として広がり、複雑な形を一つの空間にまとめています。
作品の見どころ
大きな黒い形と細かな色の断片を比べると、画面に重さと軽さの差があることが分かります。強い色の集まりを目で追い、いったん灰色の部分へ戻ると、混み合った場所にも間隔やまとまりが見えてきます。色数や線の密度が高い作品を、どこに休む場所があるかという視点で見ると、構成を読み取りやすくなります。
制作背景
1919年、ロシアで制作された油彩です。画家は後年、この作品を、多くの形を積み重ねていた劇的な時期の締めくくりと述べました。所蔵館の解説はその1936年の手紙を紹介しています。幾何学的な円や直線が中心になるバウハウス期の作品と並べると、形を密集させる構成から、配置を明快にする構成への違いが見えてきます。
出典・画像について
画像:ワシリー・カンディンスキー《灰色の中で》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPD-Art / Public domain表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
カンディンスキー 世界は鳴りひびく
宇都宮美術館ほか 編 / マイブックサービス
日本各地の所蔵作を集め、具象から抽象へ進む画業と、日本での受容をたどる展覧会図録です。
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