故郷モスクワの建物、虹、雲を一画面に集め、都市の印象を色彩の広がりへ変えた作品。
何が描かれているか
塔や教会、高い建物を思わせる形が密集し、赤、青、黄の色面が町全体へ広がっています。上には雲や虹のような弧が重なり、建物の間を曲線がつないでいます。中央付近の姿や町の細部を探しても、遠近法に従った一つの眺めにはまとまりません。異なる方向から見た街の断片を集め、画面の中で同時に響かせているように見えます。
作品の見どころ
ここでは抽象的な色の配置と、見覚えのある都市の形が並んでいます。建物は色面に分かれていても、完全に消えてはいません。目を一つの塔から雲や曲線へ移すと、街が静止した景色ではなく、動きのあるまとまりになります。《コンポジション VII》のような大作の後にも、画家が具体的な土地を描いていたことが分かります。
制作背景
1916年、ロシアへ戻っていた時期に描かれました。トレチャコフ美術館は、アトリエから見えたクレムリン周辺を手がかりにしつつ、異なる視点を集めた総合的な都市の姿を目指したと説明しています。窓からの眺めの写しではありません。故郷の建築や色の記憶が、独自の構成として組み直されています。
出典・画像について
画像:ワシリー・カンディンスキー《モスクワ、赤の広場》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPD-Art / Public domain表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
カンディンスキー 世界は鳴りひびく
宇都宮美術館ほか 編 / マイブックサービス
日本各地の所蔵作を集め、具象から抽象へ進む画業と、日本での受容をたどる展覧会図録です。
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