ムルナウの日常の汽車を、強い色面と曲がりくねる黒い形へ置き換えた風景画。
何が描かれているか
黒い汽車が画面の下側を横切り、白い煙を上げています。車輪の下には赤い色が見え、周囲の土地や遠くの山は緑、青、黄の大きなまとまりで描かれています。線路沿いの電柱も残っていますが、細かな遠近感や機械の仕組みより、汽車のうねる形と周囲の色が目に入ります。左側には汽車へ手を振る小さな人物も見つけられます。
作品の見どころ
汽車は黒い帯のように長く伸び、白い煙がその重さを上へ逃がしています。赤い車輪のあたりに視線を置くと、黒と赤の対比が動きの勢いを強めるように見えます。遠景を写真のように再現せず、広い色面へ整理しているため、風景全体が一つのリズムになります。家や山を探し終えてから色だけを追うと、具象画から抽象画へ向かう過程を体感しやすい作品です。
制作背景
1909年に厚紙へ油彩で描かれました。所蔵館の解説によると、ムルナウの家の下を通るミュンヘンとガルミッシュを結ぶ鉄道は、画家の日常にある光景でした。同じ地域で描いた別の機関車の風景画とは区別が必要です。ここでは身近な交通機関が、黒い形と鮮やかな色の関係を試す題材になっています。
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この画家について本で読む
カンディンスキー 世界は鳴りひびく
宇都宮美術館ほか 編 / マイブックサービス
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