帆船の戦いを思わせる線が鮮やかな色の中に現れ、具象と抽象の境目を示す作品。
何が描かれているか
白い地の上に青、黄、赤、緑の色が流れ、細い黒い線が斜めや縦へ伸びています。題名を手がかりにすると、長い線は帆船のマスト、湾曲した線は帆や船の形を思わせます。右下の黒い三角形からも複数の線が伸び、荒い波に揺れるように見えます。左上には町の塔を連想させる形があり、場面の断片が色の中から現れたり消えたりします。
作品の見どころ
海戦を描いていても、船体や砲撃を説明する細部は主役ではありません。黒い線の鋭さと、水彩のように薄く広がる油彩の色が対照を作っています。題名を知る前と後で見え方を比べると、抽象画にも具体的な題材の手がかりが残ることが分かります。「即興」という呼び方も、その場で無計画に描いた証拠ではなく、画家が内面的な表現を考えるために用いた作品群の名前として読むのがよいでしょう。
制作背景
1913年の制作です。所蔵館は二隻の帆船の戦いを中心的なモチーフとし、黙示録の終末のイメージとの関係を、可能性を含めて説明しています。第一次世界大戦の直前の絵ですが、特定の戦争の記録とはしていません。出来事の記録と内面的な表現の違いを考えられる作品です。
出典・画像について
画像:ワシリー・カンディンスキー《即興31(海戦)》/WikiArt掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
WikiArt個別ページのPublic domain表示に基づく忠実な複製。
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この画家について本で読む
カンディンスキー 世界は鳴りひびく
宇都宮美術館ほか 編 / マイブックサービス
日本各地の所蔵作を集め、具象から抽象へ進む画業と、日本での受容をたどる展覧会図録です。
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