厚紙の上に生物的な形と細かな色の組合せを置いた、最晩年の小さな作品。
何が描かれているか
淡い紫の地に、緑の細長い形や、赤い点を持つ橙色の形が置かれています。右側には黒と橙の帯が大きな弧を作り、その内側には細かく区切られた模様が見えます。下側にも、小さな点や模様を持つ丸い形が重なっています。地の広い部分と色が集まる部分が共存しているため、細部を追っても全体が詰まりすぎて見えません。生き物や器官を連想させる形が、違う方向へ伸びています。
作品の見どころ
注目したいのは、大きな勢いを画面全体へ押し出す代わりに、小さな形同士の距離や向きを丁寧に変えているところです。題名は、勢いがほどよく抑えられた状態を思わせますが、画家の健康や心情をそのまま表す証拠とはいえません。《空の青》と比べると、生物的な形という共通点がありながら、地の色や形の集まり方が違います。晩年を一つの作風へまとめず、同じ種類の形を使った異なる構成として見てみましょう。
制作背景
1944年、カンディンスキーが亡くなった年の作品です。ポンピドゥー・センターは、厚紙へ油彩で描かれた、幅58センチの作品と記録しています。最晩年まで続いた、形と色の探求を示す一作です。
出典・画像について
画像:ワシリー・カンディンスキー《穏やかな躍動》/Commons掲載の忠実な複製(撮影者の記載なし)
Commons個別ページのPD-Art / Public domain表示に基づく忠実な複製。 米国での作品著作権は別途確認が必要です。国・地域によって扱いが異なります。
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この画家について本で読む
カンディンスキー 世界は鳴りひびく
宇都宮美術館ほか 編 / マイブックサービス
日本各地の所蔵作を集め、具象から抽象へ進む画業と、日本での受容をたどる展覧会図録です。
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