1907年
45歳頃

アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I

画家 グスタフ・クリムト
Portrait of Adele Bloch-Bauer I / ノイエ・ギャラリー・ニューヨーク
顔と手は人らしく、衣服と背景は金の模様へ溶けていく。肖像画でありながら、人物を宝石のような平面へ変えた「黄金様式」の頂点である。

何が描かれているか

ウィーンの実業家フェルディナント・ブロッホ=バウアーの妻アデーレが、金色の椅子に座るような姿で正面を向く。
顔と組んだ手は具体的だが、衣、椅子、壁、床の境目は模様の連続へ溶けている。人物の輪郭りんかくがはっきりするのは顔、肩、手の周辺だけで、下半身は金色の場へほとんど吸収されている。

作品の見どころ

目、三角、四角、うず巻きなどの形を探そう。異なる模様が人物の身体を隠しながら、その存在を金の中心へ集める。
細い首と手は模様に囲まれて強く目立つ。豪華な材料の量より、肌の静かな色との対比が肖像らしさを支える。左右で模様の密度や向きが異なるため、正面向きの静かな姿にも、視線がゆっくり動く流れが生まれる。

制作背景

1903年頃から多数の素描そびょうを重ね、1907年に完成した。油彩ゆさいに金と銀を組み合わせた、いわゆる黄金様式の代表作である。
ナチスによる略奪後の長い返還問題を経て、2006年に相続人へ戻された。同年ノイエ・ギャラリーが取得し、現在も所蔵する。返還の経緯けいいは作品の所有史に関わる重要な事実であり、画面の様式とは分けながら押さえておきたい。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩、金・銀
所蔵
ノイエ・ギャラリー・ニューヨーク
目録番号
2006.04

出典・画像について

画像:Gustav Klimtアデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I》/アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I — Gustav Klimt / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-11 確認)
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