何が描かれているか
人間が幸福を求め、苦難を乗り越えていく道のりを描いた壁画だ。最初の壁では、浮かぶ女性たちの間に、救いを求める人々と甲冑姿の男性が現れる。中央の壁には、大きな怪物や女性たちが集まっている。
最後の壁では、竪琴を持つ人物から、並んで歌う人々と抱き合う男女へと場面が続く。掲載図は、会館の三つの壁を上から左壁、中央壁、右壁の順で見られるよう並べている。横長の各場面を、順番に追ってみよう。
作品の見どころ
人物の輪郭は細い線で囲まれ、その周囲には広い空白が残る。一方で、衣服や髪には小さな模様が集まる。描き込んだ場所と空いた場所の差が、視線の進む速さを変えるように感じられる。
金属箔だけでなく、ガラスや真珠母も貼り付けられている。真珠母は貝殻の内側にある光る層のことだ。写真では伝わりにくいが、絵の具で塗った面と実際に光る素材を組み合わせた作品でもある。
制作背景
1902年のウィーン分離派第14回展のために作られた。ベートーヴェンの第九交響曲についてのワーグナーの解釈をもとに、幸福への願いを絵画へ置き換えている。
一時的な展示のための壁画だったが、保存と修復を経て、1986年から分離派会館で再び公開されている。