何が描かれているか
薄い布をまとった裸の女性が、森の中に立っている。左の足元にはライオンが横たわり、右にはコウノトリとキツネが集まる。女性の身体には柔らかい明暗があり、暗い木々の前から浮かび上がるように見える。
女性は、目に見えない「寓話」という主題を人の姿に置き換えた存在だ。ウィーン・ミュージアムは、動物たちを観察し、後で書き留めるような女性として解説している。動物を一頭ずつ探すと、題名と場面を結びつけて見やすい。
作品の見どころ
女性の肌、ライオンの毛、鳥の羽を見比べてみよう。それぞれの表面を、細かな筆の跡と明暗で描き分けている。後年の《接吻》とは違い、身体や動物の量感が、絵を見るときの大きな手がかりになっている。
女性の頭の右側には、明るい空が細くのぞく。遠くまで開けた風景にせず、幹と茂みで場面を囲むことで、動物たちの集まる場所が近く感じられる。
制作背景
本作は1883年、出版企画『寓意とエンブレム』の図案として描かれた油彩だ。ウィーン・ミュージアムは本作を第75a図の原画と記録している。動物の毛や肌を自然に描く、金色の装飾が広がる前の表現を確かめられる。