何が描かれているか
短い黒髪のヨハンナ・シュタウデが、正面を向いている。背景は明るいオレンジ色だ。青い目と白い肌が、顔を囲む黒い髪と首飾りの中から現れる。身体の下半分は、青や紫と黒の大きな模様で覆われている。
顔は画面の中央より上にあり、肩はほぼ水平に広がる。背景に家具や遠い風景を描かず、顔、黒い首元、模様の服を縦に重ねているため、人物の姿をまとまりとして捉えやすい。
作品の見どころ
背景のオレンジ色と、服の青を見比べてみよう。服の模様は小さな金色の飾りではなく、大きな葉の形である。明るい地の色が残る部分もあり、太い筆の跡と模様の輪郭を一緒にたどれる。
所蔵館によると、服の布はウィーン工房の「葉」という柄を使っている。金色が広く覆う《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像I》と比べると、顔と装飾をつなぐ方法の変化が見えてくる。
制作背景
ベルヴェデーレは本作を1917〜1918年と記録している。シュタウデは、クリムトが描いたモデルの一人だった。
従来は未完成の肖像とされてきたが、現在の館目録はその判断を問い直している。顔や服の下地が見えることだけでは未完成と決められず、晩年の自由な描き方との関係も考える必要があるという。