1908〜1909年
46〜47歳頃

接吻

画家 グスタフ・クリムト
Der Kuss (Liebespaar) / ベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館
抱き合う二人を金色の衣と背景が包み、花の地面だけが現実の場所を示す。身体の触れ合いと平らな模様を一つにしたクリムトの最も有名な作品。

何が描かれているか

花の咲く地面の端で、男性がひざまずく女性を抱き、頬へ口づけする。二人の金色の衣は大きな一つの形にまとまる。
背景には部屋や風景の目印がない。人物の足元だけを現実の地面として残し、抱擁を時間や場所から切り離す。男性の顔はほとんど見えず、女性の閉じた目と片手が感情を受け取る中心として残されている。

作品の見どころ

男性側の四角い模様と、女性側の円や花の模様を比べよう。違うリズムが重なり、二人の姿を見分けさせる。
金色は一色ではない。金箔、銀、プラチナを含む細かな輝きと油彩ゆさいが、衣、光、背景の境目を変える。二人を囲む金色の輪郭りんかくと、足元で途切れる花畑を比べると、現実の地面から浮かび上がるように見える。

制作背景

1908年のウィーン美術展で未完成の状態で初公開され、1909年に完成したとされる。公開時に国が取得し、現在までベルヴェデーレに所蔵される。
アール・ヌーヴォーに連なるウィーン・ユーゲントシュティールと、象徴主義的な主題が交わる作品である。単なる装飾画ではなく、愛と身体の関係を寓意にする。金を多用する時期の代表作だが、材料の豪華さだけでなく、身体と模様を一つにする構成に注目したい。

作品情報

材質・技法
カンヴァスに油彩、金箔・銀・プラチナ
所蔵
ベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館
目録番号
912

出典・画像について

出典:ベルヴェデーレ美術館《接吻》解説2026-09-11 確認)
画像:Gustav Klimt接吻》/接吻 — Gustav Klimt / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-11 確認)
Public Domain表示の忠実な複製画像です。扱いは国・地域によって異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

もっと知りたいクリムト 改訂版
千足 伸行 著 / 東京美術
黄金様式の人物画だけでなく、風景画や装飾美術も含め、クリムトの多面的な仕事を生涯に沿ってたどる入門書です。
楽天ブックスで見る →