何が描かれているか
男性が女性の顔へ近づき、女性は目を閉じて顔を上げている。二人の身体は暗い背景に溶け、顔と腕が明るく見える。左右には、金色を帯びた細長い帯と花が置かれ、中央の場面を囲んでいる。
上の暗がりをよく見ると、いくつもの顔が浮かんでいる。幼い子どもの顔も、老いた顔もある。恋人たちの間だけに注目した後で上を見ると、同じ絵の印象が変わってくる。
作品の見どころ
中央の人物は柔らかい明暗で立体的に描かれるが、両側の花と金色の帯は平らな飾りのように見える。一枚の中に、身体の奥行きと装飾の平面が並ぶところを見てみよう。
ウィーン・ミュージアムは、背景の不穏な人物像が恋人の幸福に悲しみを添えると解説している。上の顔が具体的に誰を指すかを決めるより、若い二人と異なる年齢の顔の組み合わせから、愛と時間の関係を考えてみたい。
制作背景
本作は1895年、出版企画『寓意・新シリーズ』の第46図の原画として描かれた。《接吻》より前に、愛という見えない主題を人の姿へ置き換えている。
現在の所蔵館は、画面の寸法と枠を含む寸法を分けて記録している。掲載する画像でも、両側の花模様を含めた構成を確かめられる。