肩に触れる手へ顔を向ける老いた画家。死を描く連作の終わりには、静かな自画像が置かれています。
何が描かれているか
年老いた女性が片手を目の近くへ上げ、顔を横へ向けています。画面の右上から伸びた別の手が肩に触れ、明るい前腕と暗い衣服が、体の中に大きな斜めの流れをつくっています。
この女性はコルヴィッツ自身です。肩に届く手は死の存在を示しますが、骸骨の全身や恐ろしい顔は描かれていません。見えない相手と、触れられた人の身ぶりだけで場面を伝えています。
作品の見どころ
肩の手から女性の顔、目元へ近づく指へと視線を移してみてください。激しく逃げる姿ではなく、近づいた相手に気づいて向きを変えるようにも見えます。
広い紙の余白が、顔や手の周りに静けさを残しています。下の署名や記された番号も、版画として刷られた一枚の姿の一部です。図柄の空白を、描き忘れと考える必要はありません。
制作背景
八枚の連作《死》の最後の図です。ケルンのコルヴィッツ美術館は1937年の作品として紹介し、画家自身が死の手へ顔を向ける場面だと解説しています。
掲載するアムステルダム国立美術館の一枚は、館の目録では1934〜1937年とされています。連作の最終図の年と、個別の刷りの年代表示を区別し、ここではその幅を残しています。
個別の刷りの年代には幅があります
題材の最終図はケルンの目録で1937年。掲載する国立美術館所蔵の刷りは1934〜1937年とされ、制作段階や刷り年を単一の年に確定しません。
作品情報
目録番号
RP-P-1954-124(連作《死》第8図)
位置づけ
連作《死》の最終図。死に向き合う画家自身の姿。
出典・画像について
画像:Käthe Kollwitz《死の呼び声》/死の呼び声 — Käthe Kollwitz / Wikimedia Commons
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