背後から襲う死に、母親が体をねじって抵抗する。《死の呼び声》と異なる、激しい別れの場面です。
何が描かれているか
母親と子どもの背後から、骸骨の姿をした死が迫っています。母親は目と口を大きく開き、体をひねって抵抗します。子どもの顔の前にも手がかかり、いくつもの腕が狭い画面で交差しています。
ここで死は、遠くから眺める出来事ではありません。生きている体に突然触れ、親子の間へ割り込む存在として描かれています。どの腕が誰のものか、ゆっくりたどってみてください。
作品の見どころ
顔の明るさと、衣服や背後に重なる黒い部分が強くぶつかります。建物や風景を詳しく描かず、表情と身ぶりに集中させることで、逃げ場のない切迫した印象が生まれています。
ケルンのコルヴィッツ美術館は、母親が叫ぶ子の口に手を置き、死と争う場面だと解説しています。子どもを抱くしぐさが、そのまま守り切れることの保証にはならない点が痛ましく感じられます。
制作背景
1934年のクレヨン・リトグラフで、八枚からなる連作《死》の第四図です。この連作は1934〜1937年に制作され、死との出会いを異なる形で示しています。
最後の《死の呼び声》では、肩に置かれる手がもっと静かです。同じ連作でも、突然の恐怖と老いの中の応答を一つにまとめず、二枚の身ぶりの違いを見比べてください。
作品情報
目録番号
SG 4362 D / Kn 267 b(連作《死》第4図)
位置づけ
晩年の連作《死》から、突然襲う死と母子の抵抗を示す。
出典・画像について
画像:Käthe Kollwitz《女をつかむ死》/女をつかむ死 — Käthe Kollwitz / Städel Museum, Frankfurt am Main
画像:Städel Museum, Frankfurt am Main / Public Domain。全紙画像、一覧は等比縮小。
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