女性と子どもたちが身を寄せ、上から迫る暗い形を避ける。
何が描かれているか
女性と子どもたちが身を寄せ、上から迫る暗い形を避ける。姿勢は低く、互いの体を守るように寄り合う。題名は《飢え》。皿や食卓を描かず、空腹が人の身体へ及ぼす圧迫を形にした。白い子どもの顔を探すと、周囲の大人の腕や背が壁のように見えてくる。場面の意味を説明する道具が少ない分、身をかがめる動きが直接伝わる。
作品の見どころ
縦長の版面の上には黒が広がり、下の小さな人物を覆う。木版画の白い線は顔や手の位置をわずかに示し、すべてを描き切らない。近づくと版木に刻んだ線の粗さが見え、離れると人々と暗い形の対比が一気に届く。紙の周囲は作品の刷りに含まれる余白で、展示室の白壁ではない。暗さを強めようとして切り落とすと、実際の版画の見え方が変わってしまう。
制作背景
デンマーク国立美術館は1925年の木版画、《プロレタリアート》連作の一枚として記録する。ケルンの美術館の年譜にも、同年にこの連作を完成させたことが記される。同じ時期の作品に飢餓を扱う別のリトグラフやポスターもあるが、ここで示す画像は木版の《飢え》である。技法と作品を混同しないようにした。掲載画像は同館の公開版を使う。
出典・画像について
画像:Käthe Kollwitz《飢え》/Wikimedia Commons / Statens Museum for Kunst
Wikimedia Commons / Statens Museum for Kunst。Public Domain Mark / Wikimedia Commons。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
ケーテ・コルヴィッツの肖像
志真斗美恵 著 / 績文堂出版
《織工の蜂起》《農民戦争》《戦争》やポスターをたどる日本語の評伝。
楽天ブックスで見る →