何が描かれているか
捕らえられた農民たちが肩を寄せて並ぶ。腕や顔が重なり、一人ずつ離れて立つ余地はない。前方を見る者、視線を落とす者がいて、敗北の後も表情は一つではない。題名は《捕らわれた人々》。連作を順に見てきた人には、蜂起の勢いがここで押し戻されたと分かる。群衆の外側にいる監視者より、囲まれる側の人々を大きく描いた。
作品の見どころ
衣服と体には細い線が幾重にも重なり、暗い場所と白い顔が交互に現れる。最初に中央の人物を見てから左右へ目を動かすと、群れの端まで緊張が続く。紙を埋め尽くすような密度がありながら、人物を無名の塊にはしない。エッチングの濃淡は、人々が同じ運命に置かれたことと、一人ずつ異なる姿勢を同時に伝えている。近くで目線を探すと印象が変わる。
制作背景
1908年に刊行された《農民戦争》の最終第7図。ケルンの美術館は、歴史上の反乱を扱いながらも、人間の抑圧と抵抗を同時代の問題として示した連作だと説明する。掲載画像はシュテーデル美術館所蔵の版画で、同館がパブリックドメインと表示する画像を用いた。銅版の刷りには複数の状態があるため、ここで見える線や濃さを全ての版に当てはめない。