1934年
67歳頃

自画像(1934年)

画家 ケーテ・コルヴィッツ →
Self-Portrait / クリーブランド美術館
顔が画面いっぱいに近づいても、視線は遠いまま。晩年のコルヴィッツが自身を見つめた版画はんがです。

何が描かれているか

顔が画面を占める自画像です。額のしわ、まぶた、結ばれた口が、黒い線と濃淡で刻まれています。頭の上や頬の外側は切り詰められ、服や部屋の説明はほとんどありません。
明るい額から目、鼻、口へと下りてみてください。片側の頬は深い黒に沈み、もう片側には細かな線が重なります。肌の滑らかさより、顔に積み重なった時間を感じさせる描き方です。

作品の見どころ

こちらを向く顔でも、視線ははっきりこちらを捉えていません。近さと距離が同時にあるため、誰かに語りかける肖像というより、黙って考えている人の前に立つような感覚が生まれます。
紙の下には署名と番号が残っています。これは油彩ゆさいの一枚絵ではなく、版から紙へ刷ったリトグラフです。図柄だけでなく余白まで見ると、版画を一枚の紙として受け取れます。

制作背景

1934年、コルヴィッツが六十代後半に制作した作品です。ケルンのコルヴィッツ美術館は、晩年の自画像について、個人の事情だけでなく見る人が自分を重ねられる表現になったと説明しています。
掲載画像はクリーブランド美術館所蔵の一枚で、同館がCC0で公開しています。既存の働く人々や母子の群像と見比べると、同じ黒い線が一人の内面へ向かう様子が分かります。

作品情報

材質・技法
リトグラフ(石版画)
所蔵
クリーブランド美術館
目録番号
1936.30 / Klipstein 252b
位置づけ
晩年の顔を大きくとらえた自画像。労働や戦争の群像との比較。

出典・画像について

画像:Käthe Kollwitz《自画像(1934年)》/自画像(1934年) — Käthe Kollwitz / The Cleveland Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0(画像情報:2026-10-08 確認)
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