中央の女性の顔を囲むように、暗い中から人々の顔が現れる。
何が描かれているか
中央の女性の顔を囲むように、暗い中から人々の顔が現れる。下には子どもが身を寄せる。連作の最後に置かれた《人々》は、戦いの後にも暮らしが続くことを示す。中央の女性だけを英雄のように見るより、周囲の顔と下の小さな姿を合わせて見たい。何人がそこにいるか明確に数えにくく、黒い場所の中に社会の広がりが感じられる。
作品の見どころ
木版画の黒い面は大きく、白く彫り残された顔と手だけが目を引く。縦長の紙の上から下へ目を移すと、中央の女性と子どもの位置がつながる。背景は街でも戦場でもなく、人物同士の距離だけが示される。ケルンの美術館は中央の姿を、外套で人を守る「慈悲の聖母」を思わせる構図と見る。ただし宗教画そのものではない。守られる人々を現代の版画に置き換えた形といえる。
制作背景
《戦争》第7図で、ケルンの美術館は1922年作と記録する。同館は周囲の顔を、戦争を生き残りながら傷を負った人々として説明する。連作は1923年に刊行され、第一次大戦の経験を兵士の戦功ではなく、残された社会から捉えた。掲載画像はシュテーデル美術館所蔵の木版画。刷りの紙を含めて示し、作品外の壁や額は入れていない。
出典・画像について
画像:Käthe Kollwitz《人々》/Städel Museum
Städel Museum。Public Domain / Städel Museum。
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