1669–1670年頃
36〜38歳

レースを編む女

画家 ヨハネス・フェルメール
La Dentellière / ルーヴル美術館
画面のいちばん手前、糸がこぼれている縫い物袋のあたりは、はっきりしていない。ぼやけている。館は、この近くのぼけがあるからこそ、その奥にある指先の精密さが際立つのだ、と書いている。手前を捨てることで、見せたいところが立ち上がる。ぼやけたところを置くことが、そのまま鮮明さを作る手だてになっているのである。

何が描かれているか

若い女が身をかがめ、手もとの仕事を見ている。黄色い胴着に白い襟。髪は結い上げ、両脇に巻いた房が垂れている。
両手で細い糸と留め針を扱っている。前には小さな木の台があり、その上にレースを編むための当てが載る。青と白と赤の布が重なって見える。

作品の見どころ

レースを編む女という主題は、家を守る徳の印として描かれてきた。館はそこに、宗教めいた道徳の色も混じっていると見ている。手前の本が祈りの本なら、なおさらである。
館の読みでは、この女は職人ではない。家の中にいる、身分の高い女である。ただし、これが画家の妻だという証拠は無い、とも館は書き添えている。誰なのかは分かっていない。

制作背景

館は、光が右から来ていることに注意を促している。フェルメールとしては珍しいことである。
18世紀の終わりに、この絵の女を壁のくぼみの中に入れた模写が作られた。もとになったのは、ストルケルという画家が描いた水彩である。館はそれを作り話だとし、この絵が切り詰められた可能性は明らかに退けられる、としている。

作品情報

寸法
24 × 21 cm
材質・技法
カンヴァスに油彩ゆさい(板に貼付)
所蔵
ルーヴル美術館(パリ)
目録
MI 1448
ほか
フェルメール作品の中でも特に小さい1点

出典・画像について

画像:ヨハネス・フェルメールレースを編む女》/© 2005 Musée du Louvre, Dist. GrandPalaisRmn / Angèle Dequier
画像の出典 / Louvre Collectionsの利用条件(教育目的)(画像情報:2026-09-03 確認)
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