フェルメールの絵が何点残っているのか、館によって数が違う。この絵を持つワシントンの館は35点だと書く。デン・ハーグのマウリッツハイスは36点だと書く。帰属をめぐって意見の割れている作品があるからである。このサイトは、どちらが正しいとは決めない。数え方が定まっていないこと自体が、この画家の残り方をよく表している。
何が描かれているか
女が卓につき、右手に羽根ペンを持っている。紙の上に手を置いたまま、顔だけをこちらへ上げている。口もとがわずかにゆるんでいる。
上着はレモンのような黄色で、白い毛皮で縁どられている。髪には白い繻子のリボンが結ばれ、耳には真珠の飾りがある。
作品の見どころ
館は、フェルメールを何より光の画家だと書いている。この絵で光は、直に射すのではなく、回りこむようにして、卓の上と、女の顔と、黄色い上着を照らしている。
そのうえで館が挙げるのは、宝石箱を飾る真珠、耳の飾り、髪のリボンに置かれた光の点である。強い明暗ではなく、小さな輝きを散らすやり方で、画面が生きたものになっている。
制作背景
フェルメールが画家の組合に親方として登録されたのは、1653年12月29日である。当時の専門は歴史画で、初めの作は神話や聖書を主題にした大きな絵だった。
1650年代の半ばに主題が変わる。日々の場面、風景、寓意へ移っていった。それでも、初期の歴史画で好んでいた静かで内へ向かう気分は、後の絵にも残っている、と館は書く。