1495–1498年
42〜46歳

最後の晩餐

画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ
Il Cenacolo / サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ
壁に描くのに、レオナルドは壁の技法を使わなかった。フレスコは漆喰が乾く前に一気に塗るので、後から直せない。そこで乾いた下地の上に、板絵と同じやり方で顔料がんりょうを塗り重ねた。時間はかけられたが、色は壁に染み込まなかった。剥落が始まるのは早く、18世紀からの修復は9回を数える。いま見えているのは、何度も人の手が入ったあとの姿である。

何が描かれているか

イエスが「この中に私を裏切る者がいる」と言った、その直後。12人の弟子が一斉に動揺している場面だ。
中央のイエスだけが静止し、弟子たちは3人ずつ4組に分かれて動揺する。ペテロはナイフを持ってヨハネへ身を寄せ、トマスは指を上げ、フィリポは両手を胸に当てる。それぞれ異なる反応が同時に進む。

作品の見どころ

レオナルドが一生をかけて追いかけた「心の動き」が、ここで頂点に達している。怒り・恐れ・驚き・悲しみが、12人の顔と手だけで描き分けられている。誰も台詞を持たないのに、誰が何を感じているか分かる。
部屋そのものが仕掛けになっている。絵の中の壁と天井の線をたどると、消失点(遠近法えんきんほうで線が集まる一点)がイエスの右のこめかみに来る。しかもその高さは床から4メートル。食堂に立った人の目線が、そのままイエスの顔に吸い寄せられる。

制作背景

ミラノの支配者スフォルツァの依頼で、43歳頃から修道院しゅうどういんの食堂壁に描いた。レオナルドは、乾く前に素早く描くフレスコではなく、乾いた下地へ顔料を重ねる方法を選び、時間をかけて表情や光を調整した。
おかげでゆっくり描けたし、光の効果も出せた。だが絵の具は壁に染み込まず、上に乗っているだけだった。剥がれ始めるのは早かった。以後この壁画は、傷んでは手を入れられることを繰り返してきた。

作品情報

寸法
460 × 880 cm
材質・技法
乾いた壁に描く技法(フレスコではない)
所蔵
サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院 食堂(ミラノ)
ほか
1980年 ユネスコ世界遺産

出典・画像について

画像:レオナルド・ダ・ヴィンチ最後の晩餐》/Leonardo da Vinci / The Yorck Project (2002) / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-09-09 確認)
Yorck Project由来の作品全景を無裁断で縮小。2002年の複製資料で、現在の展示・修復状態とは色調が異なる場合があります。忠実な複製画像の権利の扱いは、国・地域により異なります。
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