椅子に座った年配の聖ヨセフがうとうとし、若い姿の天使がそっと肩へ手を伸ばす。
何が描かれているか
椅子に座った年配の聖ヨセフがうとうとし、若い姿の天使がそっと肩へ手を伸ばす。天使には翼が描かれず、まず普通の人物同士の出会いのように見える。テーブルには書物とろうそくがあり、炎は天使の腕に隠されている。光源が見えないため、顔や手に届く明るさだけが、静かな出来事を伝える。
作品の見どころ
天使の伸ばした手と、ヨセフの力の抜けた手を見比べると、話しかける側と眠る側の違いが際立つ。ろうそくの光は輪郭を強く照らす一方、部屋の奥を暗闇に残す。天使が見せるものを画面に書き込まず、見る人もヨセフと同じように、何が告げられるのかを待つ。登場人物は二人だけで、身振りの小ささが大事な役割を持つ。
制作背景
フランス文化省の所蔵目録は1630~35年とし、ナント美術館の案内には1631年以前ともある。制作年は一点に決まっていない。聖ヨセフの夢という宗教的題材を、特別な建物や空の奇跡ではなく、室内の親密な場面へ移した作品だ。同館には別に《聖ペテロの否認》もあるが、この画面は眠る人物と天使による別作品である。額縁を含まない画像で、絵の内側にある光と暗さを見てほしい。
出典・画像について
画像:Georges de La Tour《聖ヨセフの夢》/Wikimedia Commons / Public Domain Mark
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