何が描かれているか
中央の若い男が年配の女性に手を差し出し、占いの言葉を待つ。ところが周囲の女性たちは、彼が気づかないところで持ち物に手を伸ばしている。大きな事件の一瞬ではなく、視線と指先がずれる時間が描かれた。まず男の顔、次に左と右の手元へ目を移すと、画面の意味が変わって見える。
作品の見どころ
明るい衣服と細かな模様が人物を華やかに見せる一方、盗みの動作は服の陰に隠れる。メトロポリタン美術館は、占い師をロマの女性として説明するが、この主題には当時のロマの人々に対する偏見も重なっている。描かれた人物像を現実の集団の性質と結びつけず、17世紀の画家が用いた物語の型として見る必要がある。
制作背景
同館は制作時期を「おそらく1630年代」とし、断定していない。作品は画家の暮らした町の名を記した署名を持つ。カード遊びを描く二つの《いかさま師》と同じく、視線のずれが物語を生む昼の風俗画である。後年の静かな夜景と対照的だが、限られた人物の間に出来事を閉じ込める点では共通する。
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この画家について本で読む
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 再発見された神秘の画家
ジャン=ピエール・キュザン、ディミトリ・サルモン 著 / 創元社
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