何が描かれているか
年配の楽師が一人、粗い服と大きな帽子を身につけ、手回しの弦楽器を抱えて座る。ハーディ・ガーディは、取っ手を回して車輪を弦に当て、音を出す楽器だ。口は開いており、演奏とともに歌っているようにも見える。ただし歌の内容や、その日の暮らしぶりまで絵から確定することはできない。
作品の見どころ
人物の顔、手、楽器の木肌を近くで見せ、背景は簡素に抑える。左に伸びる脚と斜めに傾く楽器が、座った姿の安定を少し崩し、演奏の動きを感じさせる。衣服のほころびと楽器の細部は丁寧に描かれているが、見物人は登場しない。一人の人間と、生活を支える道具との関係に視線が集まる。
制作背景
ナント美術館所蔵のこの絵は、《楽師たちの争い》と同じく、街で音楽を奏でる人々への関心を示す。フランス文化省の所蔵目録は1620~25年とし、別の資料では1630年代前半ともされる。特定の年を記した作品ではない。夜の宗教画では炎が場面の中心になるのに対し、ここでは明るさの中で体や物の重さが際立つ。別の所蔵館にも楽師を描いた作品があるため、所蔵先を分けて紹介する。
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