何が描かれているか
路上で年配の楽師二人が激しく向き合う。左の男は手回し式の弦楽器ハーディ・ガーディを抱え、小刀を持つ。中央の男は管楽器を振り上げ、相手の目へレモンを絞りかけている。周囲には笑う楽師と、争いを止めたいように見える女性がいる。何が発端かは描かれておらず、目の前の衝突だけが大きく迫る。
作品の見どころ
中央に重なる腕と楽器を追うと、攻撃と防御の動きがひと目で分かる。背景は狭く、人物たちは画面の前面に押し出されている。顔のしわや衣服の傷みまで描かれ、ろうそくの夜景とは違う、昼の厳しい観察が見える。レモンを目に当てる行為には、男の盲目が本当か確かめる意味があるとゲティ美術館は説明する。
制作背景
ゲティ美術館は1625~30年頃の油彩画として登録している。路上で演奏して暮らす人々を、理想化された音楽の場面にはせず、生活の摩擦を伴う集団として示した。同時期の風俗画に見られる身近な題材だが、登場人物の視線と手を密集させることで、静止した絵の中に次の一瞬を想像させる。後年の静かな夜景と比べると表現の幅が分かる。
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ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 再発見された神秘の画家
ジャン=ピエール・キュザン、ディミトリ・サルモン 著 / 創元社
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