何が描かれているか
薄い色の服を着た女性が、暗い部屋で机に向かって座る。机の上には髑髏、書物、小さな鏡があり、ろうそくの炎は髑髏の陰にほぼ隠れている。女性はマグダラのマリアで、過去の生き方を改めて思い巡らす姿として描かれた。髑髏は人の命に限りがあることを、鏡は自分自身を見つめることを思わせる。
作品の見どころ
顔から手元へ視線を移すと、指先が髑髏へ近づくところに気づく。炎を大きく見せず、物の縁や頬を照らす光で室内の静けさを作っている。鏡には髑髏と書物が映り、見る人の視線も机上へ戻される。装飾を抑えた画面の中で、向き合う相手のいない一人の時間が長く感じられる。題名の「悔悛」は過ちを悔いて生き方を改めることを指す。
制作背景
ワシントンのナショナル・ギャラリーは1635~40年頃の油彩画として公開している。同じ主題には、メトロポリタン美術館所蔵の別作品もある。こちらは淡い服と髑髏の陰に隠れる炎が目印であり、同一画像の別所蔵ではない。両作を並べると、ラ・トゥールが鏡、炎、髑髏の置き方を変えながら、静かな内省を描いたことが分かる。
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール 再発見された神秘の画家
ジャン=ピエール・キュザン、ディミトリ・サルモン 著 / 創元社
昼の風俗画と夜の宗教画、作品が再発見された経緯をたどる日本語の入門書。2005年刊のため在庫は商品ページで確認してください。
楽天ブックスで見る →