曲がる馬場の内側を、馬と演者が進みます。観客席と斜めの柵が、演技の動く空間を作る晩年の素描です。
何が描かれているか
サーカスの丸い馬場で、灰色の馬が演者を乗せて進んでいます。馬の上の青い衣装と、右側で立つ青い服の人物が目を引きます。奥には観客席があり、手前を斜めに横切る柵が、演技の場所を囲んでいます。馬の体、人物、柵がそれぞれ異なる方向へ伸び、見る側も、丸い会場の一角から演技を追うような位置に置かれます。
作品の見どころ
馬の脚と、馬場を囲む柵の線を見比べてみてください。馬の周りには短い線が重なり、床や観客席にも描画材の跡が見えます。ポスターの一枚の色面とは違い、こすったような調子と線が、一緒に形を作っています。青い衣装は背景の淡い色から浮かび、演者の位置が分かります。
制作背景
1899年に制作された、紙の作品です。シカゴ美術館の目録は、木炭、パステル、黒チョークに加え、色鉛筆の加筆や線を刻む方法を記録しています。ロートレックは初期にも馬上の曲芸師を油彩に描き、晩年もサーカスを主題にしました。1887〜1888年の《曲馬師》と並べると、馬と人の動きを見つめながら、色や線の重なりを変えて表したことが分かります。
出典・画像について
画像:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《サーカスにて――馬場の演技》/Henri de Toulouse-Lautrec / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示を確認した平面作品の複製。全景を保ちWebPへ縮小。国・地域によって扱いが異なります。 米国での原作品の公表・保護条件は独立には確定していません。
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この画家について本で読む
「不在」トゥールーズ=ロートレック
三菱一号館美術館 著・編・監修/安井裕雄 監修/小林エリカ 著 / 青幻舎
ロートレックが手元に残した作品群を軸に、世紀末パリと女性たちへのまなざしを136点の図版でたどれる一冊です。
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