1896年
31〜32歳頃

彼女たち――浴盤のそばの女

画家 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック →
Elles: Woman at the Tub / クリーヴランド美術館
体をかがめる女性と丸い浴盤。横長の画面で、日々の身支度を身近な動きとして捉えた版画はんがです。

何が描かれているか

女性が上体を深くかがめ、床に置かれた丸い浴盤へ手を伸ばしています。顔は下へ向き、暗い衣服と明るい背中や腕の差が目を引きます。床には赤い色が広がり、壁や家具は淡い色と細い線で示されています。

作品の見どころ

背中の曲線と、浴盤の楕円形を見比べてみてください。大きく曲がる体と丸い器が近くにあり、姿勢が一目で伝わります。服の暗い面は広く塗られていますが、周囲の家具や壁は細かな線が多く、描く密度が違います。鮮やかな床の赤も、人物の体を支える色になっています。部屋を隅々まで説明しなくても、体と身近な物の配置によって、生活の場面が成立しています。

制作背景

1896年の版画集《彼女たち》に含まれる一枚です。出版したギュスターヴ・ペレは、娼館を主題とする連作れんさくをロートレックに依頼しました。しかし多くの図柄は、洗う、休む、髪を整えるといった私生活を描いています。この女性の名前や気持ちを絵だけで決めず、手の届く物や姿勢を見ると、舞台の華やかな場面とは違う、日々の動きに向けた観察が分かります。

作品情報

材質・技法
カラー・リトグラフ
所蔵
クリーヴランド美術館
目録番号
1925.1204.5

出典・画像について

出典:クリーヴランド美術館 作品目録(2026-09-29 確認)
画像:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《彼女たち――浴盤のそばの女》/The Cleveland Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0 / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-29 確認)
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この画家について本で読む

「不在」トゥールーズ=ロートレック
三菱一号館美術館 著・編・監修/安井裕雄 監修/小林エリカ 著 / 青幻舎
ロートレックが手元に残した作品群を軸に、世紀末パリと女性たちへのまなざしを136点の図版でたどれる一冊です。
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