二人の女性と話すイギリス人画家。顔の近さや目線の違いから、店内の会話の一瞬を見られます。
何が描かれているか
帽子をかぶった男性が、二人の女性と話しています。モデルはロートレックの友人で、イギリス人画家のウィリアム・トム・ウォリナーです。男性の耳や頬には赤が入り、女性の髪、顔、衣服の色がその周りに重なっています。
作品の見どころ
三人の目や口が、それぞれどちらを向くかに注目してみてください。表情を均一に整えず、横顔の線や頭の角度の差によって、人物同士の関係が作られています。背景の細部は少なく、明るい色が顔の周囲に広がります。厚紙の地や薄く塗った筆跡も、画面の軽さにつながっています。赤い耳を恥ずかしさの表現と読むことはできますが、実際の会話や心理を確定した記録ではありません。
制作背景
1892年の油彩で、同じ年のリトグラフに向けた準備作として制作されました。完成した油彩を街頭広告と比べるだけでなく、絵から版画へ表現が移る過程も見られる作品です。メトロポリタン美術館は、ウォリナーが二人の女性と話す場面として解説しています。社交場の賑わいを大人数で示す代わりに、少人数の顔の配置から場面を組み立てる方法がよく分かります。
出典・画像について
画像:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ムーラン・ルージュのイギリス人》/The Metropolitan Museum of Art
The Metropolitan Museum of ArtがCC0で公開した図版。全景を保ちWebPへ縮小。
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この画家について本で読む
「不在」トゥールーズ=ロートレック
三菱一号館美術館 著・編・監修/安井裕雄 監修/小林エリカ 著 / 青幻舎
ロートレックが手元に残した作品群を軸に、世紀末パリと女性たちへのまなざしを136点の図版でたどれる一冊です。
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