大きく跳ぶ馬と、奥へ向かう競走路。初期の馬車の油彩とは異なる、平らな色と大胆な切り取りで勢いを伝えます。
何が描かれているか
騎手を乗せた馬が、手前から奥へ斜めに跳ぶように走っています。赤茶色の馬体に、騎手の白い服が重なります。左奥にも別の馬と騎手が見えますが、その一部は画面の端で切れています。薄い緑の地面と青紫の空が、馬体の色を引き立てます。
作品の見どころ
手前の馬の後脚から胴、前脚へと形を追ってみてください。馬が大きく見える一方、奥の騎手は小さく、競走路が遠くへ続く印象があります。地面の色は平らに近く、強い立体的な影はありません。所蔵館は、この大胆な切り取りや平らな色に浮世絵の影響を指摘しています。脚の姿は実際の馬の走り方に忠実とはいえないため、瞬間写真の代わりとして見る作品ではありません。
制作背景
1899年、パリのロンシャン競馬場を主題にした版画です。競馬を扱う版画集に入れる構想がありましたが、計画は実現せず、この図は単独で刊行されました。ロートレックはドガの競馬の絵を好んでいました。十代の馬車の油彩と比べると、馬への長い関心を保ちながら、筆触や明暗から、少ない色と輪郭による表現へ移る違いが分かります。
出典・画像について
画像:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《騎手》/The Cleveland Museum of Art
Cleveland Museum of ArtがCC0で公開した図版。全景を保ちWebPへ縮小。
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この画家について本で読む
「不在」トゥールーズ=ロートレック
三菱一号館美術館 著・編・監修/安井裕雄 監修/小林エリカ 著 / 青幻舎
ロートレックが手元に残した作品群を軸に、世紀末パリと女性たちへのまなざしを136点の図版でたどれる一冊です。
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