緑とピンクの衣装が広がる舞台。踊るランデールと、周囲の出演者の静かな姿を見比べられる油彩です。
何が描かれているか
舞台の中央で踊る女性が、スカートを大きく広げています。女優マルセル・ランデールが、オペレッタ《シルペリック》でボレロを踊る場面です。衣装は緑とピンクが重なり、黒い靴下の脚が前へ伸びています。周囲にも舞台衣装の人物が立っていますが、中央の裾の動きとは対照的に、体の動きは小さく見えます。
作品の見どころ
スカートの緑の面と、下からのぞくピンクのひだを追ってみてください。足元の色が弧を描き、踊りの動きが布の形として伝わります。顔や胸元にも緑の光が入り、自然の昼間とは異なる舞台の明るさがあります。ポスターの単純な輪郭と違い、油彩では色の重なりが衣装の厚みを作っています。
制作背景
所蔵館は制作年を1895〜1896年としています。エルヴェのオペレッタは1895年にパリのヴァリエテ座で上演され、ロートレックは繰り返し観劇しました。ここに見えるのは歴史上の王宮そのものではなく、衣装と照明で作られた舞台です。同じ年のランデールの胸像版画と並べると、全身の踊りと、顔や髪飾りへ焦点を絞った表現を比べられます。
出典・画像について
画像:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《「シルペリック」でボレロを踊るマルセル・ランデール》/National Gallery of Art
National Gallery of ArtがCC0で公開した図版。全景を保ちWebPへ縮小。
間違いを見つけたら、教えてください →アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。
この画家について本で読む
「不在」トゥールーズ=ロートレック
三菱一号館美術館 著・編・監修/安井裕雄 監修/小林エリカ 著 / 青幻舎
ロートレックが手元に残した作品群を軸に、世紀末パリと女性たちへのまなざしを136点の図版でたどれる一冊です。
楽天ブックスで見る →