1893年
28〜29歳頃

ロイ・フラー嬢

画家 アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック →
Miss Loïe Fuller / クリーヴランド美術館
衣装と色が渦うずを巻き、体の輪郭りんかくが溶け合います。電気照明を使う踊りを、抽象的な形で表した版画はんがです。

何が描かれているか

暗い背景の中に、黄、緑、赤紫の形が浮かんでいます。主題はアメリカの踊り手ロイ・フラーです。大きな衣装を広げて踊る姿ですが、手足や顔を一つずつ追うより、布と体が作る曲線のまとまりが目を引きます。黄色い明るい部分から赤紫の曲がる形へと色が続き、人物が空中をうねるようにも見えます。画面の暗い地も、刷られた作品の一部です。

作品の見どころ

輪郭を見ながら、どこまでが布で、どこからが体かを探してみてください。区別しにくいことが、この版画の特徴でもあります。周囲の暗い面が広いため、中央の明るい形が強く浮かびます。ポスターのはっきりした黒い輪郭とは異なる表現です。

制作背景

フラーは棒を使って大きな衣装を動かし、色の付いた電気照明で舞台を変化させました。所蔵館は、ロートレックが金属的な色調を含むインクの層を使い、その動きを伝えたと説明しています。1893年のこの版画では、人物の細かな似姿より、目の前の光景が形を変える感覚が重要です。舞台を描く仕事が、広告や肖像に限らなかったことも分かります。

作品情報

材質・技法
カラー・リトグラフ
所蔵
クリーヴランド美術館
目録番号
1925.1202

出典・画像について

出典:クリーヴランド美術館 作品目録(2026-09-29 確認)
画像:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《ロイ・フラー嬢》/The Cleveland Museum of Art
画像の出典 / CC0 1.0 / 画像の出典・条件(画像情報:2026-09-29 確認)
Cleveland Museum of ArtがCC0で公開した図版。全景を保ちWebPへ縮小。 初期表示は図柄全体。周囲の紙を含む採用図版全体へも切替可能。図柄は切らず、表示だけで外周の余白を減らす。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

「不在」トゥールーズ=ロートレック
三菱一号館美術館 著・編・監修/安井裕雄 監修/小林エリカ 著 / 青幻舎
ロートレックが手元に残した作品群を軸に、世紀末パリと女性たちへのまなざしを136点の図版でたどれる一冊です。
楽天ブックスで見る →