ピンクの衣装で立つ歌手。舞台衣装の特徴を残しながら、広告とは異なる細い筆跡で描いた油彩です。
何が描かれているか
歌手メイ・ベルフォールが、ピンクの長い衣装で立っています。顔の周りにはボンネットがあり、衣服には細かな縦の筆跡が見えます。背後の緑色と衣装のピンクが響き合い、手前には暗い横長の形が入っています。広告ポスターのように名前や出演情報を大きく加えず、人物と、その周囲の色や線によって場面を作っています。
作品の見どころ
顔から衣服へと筆跡を追ってみてください。輪郭を一枚の平らな色で埋めるのではなく、細く重ねた線が、衣装の長さや薄さを伝えています。緑の背景も一様ではなく、色の線が混じっています。同じ人物のポスターでは赤い衣装と黒い猫が目印になりますが、この油彩では、立つ姿や衣服の描き方をゆっくり見られます。似た主題でも、用途によって表現が違います。
制作背景
1895年の作品で、所蔵館の技法欄は厚紙への油彩としています。ロートレックは同年、レ・デカダンの舞台でベルフォールを見いだしました。彼女は幼い声と、フリルの衣装やボンネットを特徴としていました。歌手の装いを観察する仕事が、ポスターだけでなく油彩にも及んでいた一例です。
出典・画像について
画像:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《メイ・ベルフォール(油彩)》/The Cleveland Museum of Art
Cleveland Museum of ArtがCC0で公開した図版。全景を保ちWebPへ縮小。
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この画家について本で読む
「不在」トゥールーズ=ロートレック
三菱一号館美術館 著・編・監修/安井裕雄 監修/小林エリカ 著 / 青幻舎
ロートレックが手元に残した作品群を軸に、世紀末パリと女性たちへのまなざしを136点の図版でたどれる一冊です。
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