1506〜1508年頃
54〜56歳頃

聖アンナと聖母子せいぼし、幼児聖ヨハネ(バーリントン・ハウスの下絵)

画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ →
The Burlington House Cartoon / ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
輪郭りんかくだけの手と、柔らかく陰影をつけた顔を見比べる。

何が描かれているか

聖アンナの膝にマリアが座り、幼いキリストを抱いている。右には子どもの洗礼者せんれいしゃヨハネがおり、キリストがその顎に触れる。四人の体が重なり合い、視線と手の動きで一つのまとまりをつくっている。
アンナの指は天を指す。その手は輪郭だけで示される一方、顔や衣には濃淡が重ねられている。同じ紙の中に、形を探る線と、ふくらみを感じさせる陰影の両方が残っている。

作品の見どころ

目の周囲や頬では、輪郭が煙のようにぼけている。線で人物を囲うだけでなく、光から影へ少しずつ移ることで、肌の柔らかさや奥行きを表している。
大きな紙一枚に見えるが、複数の紙をつないだ作品だ。完成度の高い顔と描きかけに見える足元を行き来すると、レオナルドが人物を立体にしていく過程をたどれる。

制作背景

ここでいう下絵は、絵画と同じ大きさで構想を示す素描そびょうのこと。ただし転写のための穴や刻線はなく、注文主に見せる提示用の作品だった可能性がある。
所蔵館は現在、1506〜1508年頃としている。ルーヴルの《聖アンナと聖母子》とは構図こうずが異なり、そちらではヨハネに代わって小羊が描かれている。
資料の留保
以前は1499〜1500年頃とされることが多かったが、所蔵館の現行表示は技術・様式研究に基づく1506〜1508年頃。ルーヴルの油彩ゆさいへそのまま転写した下絵とは確定していない。

作品情報

材質・技法
紙に木炭と白チョーク、カンヴァスに貼付
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)
目録番号
NG6337
位置づけ
大判下絵で、人物の組み合わせと陰影のつくり方を見る。

出典・画像について

画像:Leonardo da Vinci《聖アンナと聖母子、幼児聖ヨハネ(バーリントン・ハウスの下絵)》/聖アンナと聖母子、幼児聖ヨハネ(バーリントン・ハウスの下絵) — Leonardo da Vinci / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-10-09 確認)
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