1511年頃
59歳頃

子宮内の胎児の研究(表)

画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ →
The Fetus in the Womb (recto) / ロイヤル・コレクション
胎児を包む曲線と、周囲の小さな図や文字を見比べる。

何が描かれているか

開かれた子宮の中に、脚を折り曲げた胎児が描かれている。周囲には膜や器官を示す小さな図、幾何学的な図形、細かな書き込みが並ぶ。一つの姿を写すだけでなく、体の仕組みを考えるための紙だ。
丸い頭や背中には、曲線に沿った細い線が密集している。赤チョークも用いられ、輪郭りんかくと陰影が組み合わさることで、胎児が包まれる空間の奥行きが感じられる。

作品の見どころ

膜を花びらのように開いた表し方に注目したい。外からは見えない内部を示すため、実際の見え方をそのまま写すのではなく、説明できる形へ組み立て直している。
大きな図だけでなく、小さな図を行き来すると、位置や構造を別の角度から検討していることが分かる。観察、描画、文章が同じ紙の上で結びつくところが見どころだ。

制作背景

制作は1511年頃。レオナルドの人体研究を代表する素描そびょうだが、すべてが今日の解剖学と一致するわけではない。所蔵館は、胎盤の表現に牛の解剖で得た知識が使われていると説明する。
人の胎盤と牛の胎盤には違いがあり、この図にも誤りが残る。先進的な観察と当時の推測が重なっていることを踏まえると、研究の到達点と限界を一緒に読むことができる。
資料の留保
人体の観察に牛の解剖からの類推が重なる素描。人の胎盤を正確に描き切った現代的な医学図とは扱わない。裏面の別の素描・追記とは区別し、表を掲載する。

作品情報

材質・技法
紙に赤チョーク、黒チョークの痕跡、ペン、インク、淡彩
所蔵
ロイヤル・コレクション
目録番号
RCIN 919102
位置づけ
人体研究と、図と文字を合わせる素描の働きを見る。

出典・画像について

画像:Leonardo da Vinci《子宮内の胎児の研究(表)》/子宮内の胎児の研究(表) — Leonardo da Vinci / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark 1.0 / PD-Art(画像情報:2026-10-09 確認)
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