猫を抱く幼児と聖母の習作(表)
画家 レオナルド・ダ・ヴィンチ →The Virgin and Christ Child with a Cat (recto) / 大英博物館
逃げようとする猫と、それを抱く幼児の動きを追う。
何が描かれているか
マリアの膝にいる幼いキリストが、猫をしっかり抱きかかえている。猫は顔を外へ向け、腕の中から抜け出そうとしているように見える。人物の背後にはアーチ状の枠と窓が描かれる。
縦十三センチほどの小さな紙だが、下半分には多くの線が重なる。母の脚や衣の位置を描き直した跡で、完成した姿を清書するより、構図を紙の上で探していることが分かる。
作品の見どころ
母、子、猫の頭を順に追うと、斜めの流れが見えてくる。落ち着いた母の顔と、猫を抱え込む子どもの動きが対照的で、聖母子の題材に身近な仕草が持ち込まれている。
黒く集まった線を失敗として見ず、選ばれなかった姿勢の記録として眺めたい。上部の明快な輪郭と、脚の周囲の複雑な線を比べると、構想の進み方の違いが見える。
制作背景
レオナルドは同じ主題を複数の素描で試した。この紙の裏にも左右を反転させた構図があり、光に透かして表の線を選びながら、さらに形を変えたと所蔵館は説明する。
この猫の聖母子が、レオナルド本人による完成絵画へ進んだことは確認されていない。ここでは紙の表を掲載し、描き直しそのものを鑑賞の入口にする。
資料の留保
紙の表裏は古い目録と現在の資料で呼び方が逆になっている。掲載画像は窓が背後にあり、脚に多数の試行線が残る面で、所蔵館の現行解説では表(recto)に当たる。
作品情報
材質・技法
紙に尖筆の下描き、ペンと褐色インク
位置づけ
小さな構図習作から、描き直して形を探る過程を見る。
出典・画像について
画像:Leonardo da Vinci《猫を抱く幼児と聖母の習作(表)》/猫を抱く幼児と聖母の習作(表) — Leonardo da Vinci / Wikimedia Commons
CommonsのPublic Domain表示の忠実複製。 複製の扱いは国・地域で異なります。
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