何が描かれているか
暗い森の地面に幼子キリストが横たわり、聖母マリアがひざまずいて両手を合わせる。幼い洗礼者聖ヨハネも加わり、上方では父なる神と鳩が光を送る。
馬小屋、羊飼い、聖ヨセフは見えず、岩、切り株、花、小川が画面を満たす。誕生の物語を説明する建物を外し、森そのものを祈りの場所へ変えている。
作品の見どころ
暗い木々の間に聖母の青い衣と幼子の明るい身体が浮かぶ。縦長の画面を上から下へ走る光が、父なる神、鳩、幼子を結び、森の深さに一本の中心線をつくる。
木の根、苔、花、水を細かく描き、静物のように見る楽しさを残す。自然は背景ではなく、閉ざされた礼拝堂の中で、創造された世界全体が幼子を迎える舞台になる。
制作背景
ベルリン絵画館が所蔵し、1459年頃の作品として知られる。メディチ家の礼拝空間との関係が論じられてきたが、当初の置かれ方の細部は推定を含む。
通常の降誕図から登場人物と建築を減らしたため、見る人は物語の順序より、幼子へ向かう祈りに集中する。リッピの装飾性と修道的な静けさが同居する作品である。