何が描かれているか
大きな孔雀の羽のような翼を広げたガブリエルが、花の咲く庭の前でひざまずく。マリアは室内の椅子に座り、胸元に差す金色の光を見つめながら頭を下げる。
上の青い雲から神の手が現れ、鳩を送り出す。低い壁には白い百合の花器が置かれ、庭と室内を分けながら、天使からマリアへ視線を渡す中間点になる。
作品の見どころ
横長画面いっぱいに翼と庭を広げても、金の光がマリアの胸へ集まるため、物語の中心を見失わない。金箔は輪郭の飾りではなく、目に見えない働きを可視化している。
庭の草花、孔雀色の翼、刺繍の衣を細かく描き、宮殿の装飾画にふさわしい豊かさを出す。一方、二人の伏せた顔と距離が、華やかさの中に静かな応答を残す。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1450〜1453年頃の卵テンペラ画とする。フィレンツェのメディチ宮殿に由来し、ほぼ同じ大きさの《七聖人》と対で置かれた可能性が高い。
半円形の輪郭が最初からの形か、後に整えられたかには検討がある。扉の上や室内装飾としての位置が提案されるが、確定した設置場所として言い切らない。