1440年代後半頃
40代前半頃

受胎告知じゅたいこくち(ワシントン)

画家 フィリッポ・リッピ
The Annunciation / ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
仕切られた室内を光が横切り、離れた二人を一つの出来事で結ぶ。

何が描かれているか

左の部屋で大天使だいてんしガブリエルがひざまずき、右では聖母マリアが青い衣を胸元へ寄せて立つ。上からはとが光を放ち、その線が中央の仕切りの裏を通ってマリアへ届く。
二つの部屋は床でつながるが、柱または窓枠のような垂直の壁で分かれる。マリアの側には本、花器、長椅子が置かれ、受胎告知が同時代の静かな室内へ移されている。

作品の見どころ

中央の仕切りは二人を遮るように見えるが、光だけがそれを越える。見える空間と見えない出来事を同じ線で扱い、受胎告知の意味を建築そのものに持たせた。
天使の前は硬い石壁、マリアの側は布や家具のある生活空間である。表面の違いを細かく描き分けることで、外から届く知らせと内側で受け止める反応が対照になる。

制作背景

ナショナル・ギャラリー(ワシントン)はテンペラ、板の作品として所蔵する。制作年には幅があるため1440年代後半頃とし、同時期の扉上画との関係は可能性として扱う。
リッピは受胎告知を繰り返し描いたが、各作品で建築、光、聖母の姿勢を変えた。本作では人物を近づけるより、隔てられた空間を光が結ぶ仕組みに重点がある。

作品情報

材質・技法
テンペラ、板
所蔵
ナショナル・ギャラリー(ワシントン)
位置づけ
室内を仕切る柱と光を使い、離れた二人の間に受胎告知の瞬間をつくった。

出典・画像について

画像:Fra Filippo Lippi受胎告知(ワシントン)》/受胎告知(ワシントン) — Fra Filippo Lippi / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public Domain Mark(画像情報:2026-09-22 確認)
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