何が描かれているか
聖母は幼子を抱き、左右に聖フレディアーノと聖アウグスティヌスが立つ。天使たちが前後に重なり、柱やアーチが一団を包む。
人物の身振りや顔の向きはそろわない。中央の聖母子へ視線を集めながら、画面の各所に小さなやり取りを作る。
作品の見どころ
アーチの曲線と立つ人物の縦線が交差し、広い横画面に奥行きが生まれる。衣のひだと光の当たり方を見比べると、重なる人物の位置を追いやすい。
この絵は一枚の肖像や物語場面ではなく、礼拝のための祭壇画である。床と建築をたどり、画面の手前から奥へ入る感覚を味わいたい。
制作背景
ルーヴルの記録では、1437年にフィレンツェのサント・スピリト聖堂内のバルバドーリ礼拝堂の祭壇画として注文された。制作完了を1437年と断定せず「以後」とした。
主パネルはルーヴルにあり、下部の三場面はウフィツィ美術館に分かれて保存される。主パネルだけの写真を祭壇画全体と取り違えないよう題名にも明記した。 下部の小画面とのつながりを考えると、現在別々の館で展示される作品の元の役割が見えてくる。