1452〜1453年頃
40代後半頃

聖母子せいぼしと聖アンナの物語(バルトリーニのトンド)

画家 フィリッポ・リッピ →
Madonna col Bambino e storie della vita di sant’Anna (Tondo Bartolini) / パラティーナ美術館(ピッティ宮殿)
一つの円の中を、手前の母子から家族の過去へたどる。

何が描かれているか

前景では聖母マリアが幼子おさなごキリストを膝に載せ、ざくろを差し出す。幼子はその実の粒へ手を伸ばす。二人の後ろには、聖母の母である聖アンナに関わる二つの出来事が描かれている。
左奥はマリアの誕生で、寝台のアンナを女性たちが世話し、赤子を抱く人や贈り物を運ぶ人がいる。右奥の階段ではアンナと夫ヨアキムが出会う。別々の時の物語が、一つの建物の中に同居する。

作品の見どころ

人物の大きさを順に比べると、手前の母子、出産の部屋、さらに奥の階段へと空間が深まる。所蔵館は、この大小の違いが距離だけでなく、三つの出来事を隔てる時間も示すと説明している。
円形の絵を「トンド」と呼ぶ。曲がった外周の中を、柱、階段、床の線が区切り、物語を読み分ける手がかりになる。ざくろは所蔵館によれば豊かさを表すとともに、キリストの将来の受難を予告する。

制作背景

1452〜1453年頃の板絵で、ピッティ宮殿のパラティーナ美術館にある。所蔵館は同時期の注文記録と結びつけ、レオナルド・バルトリーニ・サリンベーニの住居に向けた可能性を示している。
ここでは聖なる誕生と、出産を支える女性たちの日常が隣り合う。家族の物語を近くで見る絵として味わいたい。

作品情報

材質・技法
テンペラ、板
所蔵
パラティーナ美術館(ピッティ宮殿)
位置づけ
円形の画面に、母子と聖母の家族の過去を重ねた家庭用の宗教画。

出典・画像について

画像:Fra Filippo Lippi《聖母子と聖アンナの物語(バルトリーニのトンド)》/Fra Filippo Lippi / Web Gallery of Art / Wikimedia Commons
画像の出典 / Public domain(画像情報:2026-10-04 確認)
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