何が描かれているか
前景では聖母マリアが幼子キリストを膝に載せ、ざくろを差し出す。幼子はその実の粒へ手を伸ばす。二人の後ろには、聖母の母である聖アンナに関わる二つの出来事が描かれている。
左奥はマリアの誕生で、寝台のアンナを女性たちが世話し、赤子を抱く人や贈り物を運ぶ人がいる。右奥の階段ではアンナと夫ヨアキムが出会う。別々の時の物語が、一つの建物の中に同居する。
作品の見どころ
人物の大きさを順に比べると、手前の母子、出産の部屋、さらに奥の階段へと空間が深まる。所蔵館は、この大小の違いが距離だけでなく、三つの出来事を隔てる時間も示すと説明している。
円形の絵を「トンド」と呼ぶ。曲がった外周の中を、柱、階段、床の線が区切り、物語を読み分ける手がかりになる。ざくろは所蔵館によれば豊かさを表すとともに、キリストの将来の受難を予告する。
制作背景
1452〜1453年頃の板絵で、ピッティ宮殿のパラティーナ美術館にある。所蔵館は同時期の注文記録と結びつけ、レオナルド・バルトリーニ・サリンベーニの住居に向けた可能性を示している。
ここでは聖なる誕生と、出産を支える女性たちの日常が隣り合う。家族の物語を近くで見る絵として味わいたい。