何が描かれているか
父なる神が高い石の座に座り、ひざまずく聖母マリアへ冠を授ける。周囲には白い百合を持つ天使、聖人、修道士、殉教者が密集し、青い同心円が天上の空間を示す。
前景右には注文者フランチェスコ・マリンギが祈り、左奥には白い修道服の画家自身とされる人物がこちらを見る。天上の出来事へ現実の注文者と制作する画家が加わる。
作品の見どころ
人物が多い画面を、中央の戴冠、左右の聖人、前景の注文者という層に分けている。石の座と青い帯が奥行きをつくり、白い百合の反復が群像の中で視線を戻す。
人物の頭が下方から現れるように見えるのは、修道院の高い聖歌隊席から見る条件を考えた工夫と説明される。正面だけでなく、置かれる場所から逆算して構成された祭壇画である。
制作背景
ウフィツィ美術館は1439〜1447年頃、サンタンブロージョ教会の主祭壇のための作品とする。注文者の遺贈に支えられ、400フローリンを超える報酬で完成した記録が残る。
大きな仕事にはフラ・ディアマンテら協力者も参加した。画面全体をリッピ一人の筆とみなさず、構想と主要人物を中心に、工房による祭壇画制作として見る必要がある。