何が描かれているか
大きな宮殿の宴でサロメが軽やかに踊り、ヘロデと客たちが食卓から見つめる。画面左では洗礼者聖ヨハネの首が盆に載せられ、右ではサロメが母へ盆を渡す。
一枚の壁画に、踊り、処刑後の首の提示、母への受け渡しという異なる時点が並ぶ。床の格子、柱、階段が広間を区切り、同じ人物を順に追える。
作品の見どころ
中央のサロメの衣は大きく弧を描き、宴の視線を集める。その華やかな動きの左右に残酷な結果を置くため、祝宴の美しさと命令の重さが同時に見える。
遠近法で広い舞台をつくり、人物の大きさを場所に合わせて変える。建築を背景として飾るだけでなく、時間の異なる三場面を混乱なく配置するための仕切りに使っている。
制作背景
プラート大聖堂主礼拝堂の洗礼者聖ヨハネ伝に属し、連作は1452年から1464年頃まで続いた。長い中断と工房協力を含むため、制作を一時点や一人の手に単純化しない。
聖ヨハネはフィレンツェと近隣地域で重要な守護聖人だった。リッピは宗教物語を同時代の宮廷宴会のように描き、鑑賞者が人物の服、礼儀、動線から出来事を読めるようにした。