何が描かれているか
聖母マリアが窓辺で手を合わせ、二人の天使が幼子キリストを持ち上げて差し出す。幼子は母へ両腕を伸ばし、手前の天使は肩越しにこちらを見て微笑む。
聖母の髪には真珠と薄い布が編み込まれ、背後の窓から岩山、水面、町の遠景が見える。光輪は大きな金の円ではなく、細い線と光として風景に重なる。
作品の見どころ
母子の視線は互いに結ばれるが、笑う天使だけが鑑賞者を見る。その視線が画面の外と内をつなぎ、私たちも幼子を支える近い場所へ招かれたように感じる。
石の枠に沿って人物を半身で切り取り、彫刻の浮彫のように前へ押し出す。薄いヴェール、真珠、柔らかな肌、遠い岩を描き分け、近景と遠景の距離を強めている。
制作背景
ウフィツィ美術館は1460〜1465年頃、板にテンペラの作品とする。最初の設置場所は分からず、18世紀後半にメディチ家の別荘で記録されるまでの来歴には空白がある。
聖母の顔をルクレツィア・ブーティとする説は有名だが、美術館は確認できる証拠がないと説明する。モデル名を断定せず、同時代の髪型と親密な表情として見る。