1466〜1469年(注文から完成)
60代前半頃

聖母の生涯(スポレート大聖堂、後陣の連作れんさく)

画家 フィリッポ・リッピ →
Storie della Vergine, abside del Duomo di Spoleto / スポレート大聖堂
曲がる壁と天井の形に合わせた、最晩年の大きな物語を見る。

何が描かれているか

祭壇の奥にある半円形の壁と丸い天井に、聖母マリアの生涯が広がる。上部は天使や聖人を伴う聖母戴冠、下の左は受胎告知じゅたいこくち、中央は聖母の死、右はキリスト降誕である。
中央の聖母の死の場面では、寝台の上方に天へ上がる聖母の姿が見える。別々の出来事は、描かれた柱によって区切られる。

作品の見どころ

上の戴冠に集まる人物の曲線と、下の壁の縦の区切りを見比べたい。平らな板絵と違い、建物の曲がる面が絵の範囲を決める。見る位置によって人物や場面の距離感が変わることも、壁画を読む手がかりになる。
場面を個別に追うだけでなく、中央から左右、さらに上へ視線を移すと、聖母の物語が教会の中を包む構成が分かる。

制作背景

1466年に注文や材料代の支払いがあり、足場を用いた本格的な作業は1467年から進んだ。リッピは1469年10月に亡くなり、同年12月に協力者たちが連作を完成したと制作記録は伝える。
プラート教区の資料はフラ・ディアマンテを主要な協力者とし、息子フィリッピーノへの支払いも記す。最晩年の構想を伝える作品だが、すべてが本人の筆ではない。父の仕事が工房へ引き継がれた過程も含めて見たい。

作品情報

材質・技法
フレスコ
所蔵
スポレート大聖堂
位置づけ
最晩年の壁画連作。上部の戴冠と下部の三場面を一つの装飾として示す。

出典・画像について

画像:Fra Filippo Lippi and workshop(本文に協力者・年代の留保)《聖母の生涯(スポレート大聖堂、後陣の連作)》/Ziegler175 / Wikimedia Commons
画像の出典 / Ziegler175 / CC BY-SA 3.0(画像情報:2026-10-04 確認)
写真: Ziegler175 / Wikimedia Commons、CC BY-SA 3.0。取得JPEGは無変更。縮小WebPと表示輪郭にも同条件を継承。壁画の連作と現地の建築を含む写真。色補正・生成処理なし。
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この画家について本で読む

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