何が描かれているか
聖ステファノの身体が教会の内部に横たわり、多くの人々が周囲に立つ。前では女性たちが膝をつき、中央奥へ柱と天井が続く。プラート大聖堂の聖ステファノ伝の一場面だ。
人物は左右に分かれているが、床の模様と柱の列が一つの室内へまとめる。右端には岩場と別の人物群が見える。
作品の見どころ
床の四角形、柱の根元、天井の格子を順に追ってみたい。手前から奥へ小さくなる形が、身体と人々を囲む空間をつくる。中心の横たわる聖人だけでなく、周囲の身振りや顔の違いにも視線が移る。
反対側の壁にある《ヘロデの宴》では、踊りと首の受け渡しが同じ建築内に置かれる。こちらは葬儀を囲む人々と教会の奥行きが中心である。二つを比べると、リッピが主題に応じて集団の動きを変えたことが見える。
制作背景
礼拝堂全体は1452〜1465年にリッピと協力者が制作した。聖ステファノの物語は左の壁、洗礼者ヨハネの物語は右の壁に並ぶ。本頁の年代は連作の期間であり、この葬儀の場面を描いた年を一点に決めたものではない。
市の案内は、葬儀が左壁の下段にあり、初期キリスト教の教会を思わせる建築に置かれると説明する。礼拝堂の大きな空間と一場面の関係を見たい。