何が描かれているか
白い修道服の聖ベルナルドゥスが岩を机にして本へ向かい、現れた聖母マリアの言葉を聞く。聖母は本を指し示し、幼子キリストと天使たちがその周囲を囲む。
奥では二人の修道士が岩陰から場面を見つめ、一人は強い光を避けるように顔を覆う。森、岩、細い道具だけで、町から離れた黙想の場所がつくられている。
作品の見どころ
六角形の横長画面に合わせ、岩と人物を低く広げている。聖人の机、聖母の手、開いた本が一直線につながり、奇跡を光の爆発ではなく、読むことと聞くことの延長として見せる。
絵具の表面は摩耗し、聖人の筆など見えにくくなった部分がある。それでも、現実の岩を机に変える工夫と、背後からのぞく二人によって、静かな体験に物語の奥行きが残る。
制作背景
ナショナル・ギャラリーは1447年の卵テンペラ画とし、フィレンツェの市庁舎パラッツォ・ヴェッキオで扉の上に置かれた可能性を示す。聖ベルナルドゥスは同建物の守護聖人だった。
画面が後に四辺で切られ、悪魔の尾らしい痕跡だけが残るため、細部の意味は完全には確定しない。主題も最も可能性の高い「聖母の出現」として限定して読む。