街の片隅の人物を、全身肖像の大きさで描いた初期作。
何が描かれているか
山高帽をかぶり、暗いマントを身につけた男性が、壁際に立っています。段の上には酒の入ったグラスが置かれ、足元には瓶が転がっています。人通りや店の看板は描かれず、人物と飲み物だけが目につく場面です。題名のアブサンは酒の名で、飲酒をめぐる人物像を示していますが、その人の暮らしの全てが絵から分かるわけではありません。
作品の見どころ
帽子とマントの黒に対して、顔や脚、地面の明るい部分が浮かびます。大きな影は人物に沿って伸び、身体と壁の距離をかえって捉えにくくしています。背景の物を細かく描き込むより、暗い形と明るい形の組み合わせで人を立たせる絵として見ると、マネの初期の工夫が分かります。壁や地面のくすんだ色も描かれた部分です。
制作背景
1859年の作品で、ニュー・カールスベア・グリプトテクに所蔵されています。王侯や裕福な人の姿に用いられてきた大きな全身肖像の形式を、街の周縁に生きる人物へ向けた点が重要です。後の《老音楽家》と比べれば、一人を大きく置く構成から複数の人を組み合わせる構成へ、題材が広がる様子も見て取れます。
出典・画像について
画像:エドゥアール・マネ《アブサンを飲む男》/Édouard Manet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示を確認した平面作品の複製。全景を保ちWebPへ縮小。国・地域によって扱いが異なります。
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この画家について本で読む
エドゥアール・マネを見つめて
エミール・ゾラ 著/林 卓行 監訳/神田 由布子 訳 / 東京書籍
マネを擁護した同時代の作家ゾラの文章を軸に、人柄、作品、公衆との関係を代表作とともに読める入門書です。
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