1864年
31〜32歳頃

キアサージ号とアラバマ号の海戦

画家 エドゥアール・マネ →
The Battle of the U.S.S. “Kearsarge” and the C.S.S. “Alabama” / フィラデルフィア美術館
海の広がりの中に、同時代の海戦を小さく置く。

何が描かれているか

波立つ海の向こうで、二隻の軍艦が戦っています。船の周りには白い煙が広がり、手前には帆を上げた小舟がいます。画面の大半を海が占め、戦う人の表情や甲板上の動きは細かく描かれていません。題材は南北戦争中の海戦ですが、陸の戦争画のように人物を中心へ集めず、水面越しに遠くの出来事を見る構成になっています。

作品の見どころ

青や緑の波が斜めに重なり、その筆の動きと船の小ささが海の大きさを伝えます。白い煙は軍艦の輪郭りんかくを隠し、勝敗を一目で説明する標識にはなっていません。手前の舟から奥の軍艦へ視線を移すと、近い日常と遠い戦闘が一つの海に同居していることが分かります。水平線だけでなく、波の方向も見比べたいところです。

制作背景

1864年6月19日、フランスのシェルブール沖で、北軍のキアサージ号と南軍のアラバマ号が戦いました。マネはこの同時代の事件に関心を寄せ、同年に絵を制作しています。実際の海戦をその場で写した記録としては扱えません。政治や戦争も現代の題材とした姿勢を示す作品で、フィラデルフィア美術館に所蔵されています。

作品情報

材質・技法
油彩ゆさい、カンヴァス
所蔵
フィラデルフィア美術館

出典・画像について

画像:エドゥアール・マネ《キアサージ号とアラバマ号の海戦》/Édouard Manet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示を確認した平面作品の複製。全景を保ちWebPへ縮小。国・地域によって扱いが異なります。
間違いを見つけたら、教えてください →
アフィリエイトリンク|このリンクから購入されると、運営者に報酬が入ることがあります。

この画家について本で読む

エドゥアール・マネを見つめて
エミール・ゾラ 著/林 卓行 監訳/神田 由布子 訳 / 東京書籍
マネを擁護した同時代の作家ゾラの文章を軸に、人柄、作品、公衆との関係を代表作とともに読める入門書です。
楽天ブックスで見る →