身支度をする女性の視線が、見る人を室内へ引き入れる。
何が描かれているか
青いコルセットと白い下衣を身につけた女性が、鏡の前に立っています。手には化粧の道具を持ち、顔をこちらへ向けています。右には山高帽の男性が座っていますが、身体の一部は画面の端で切れています。美術館は、高級娼婦の身支度を客が待つ場面として解説しています。華やかな室内に、女性と男性、見る人の位置が作られています。
作品の見どころ
女性の青と白の衣装が、男性の黒い服より強く目を引きます。姿勢は鏡の方へ向きながら、目は絵の外の私たちへ向くため、室内の会話だけでは収まらない関係が生まれます。奥の装飾や家具は平らな色面にも見え、遠近法による深い部屋の感覚は弱まっています。右端の男性の切れた姿も画像の欠落ではなく、原画の構図です。
制作背景
1877年の作品で、当時のサロンでは受け入れられませんでした。都会で実際に存在した性的な取引を、格式ある絵画の題材として見せた点が論争に関わります。衣装を美しく描くことと、社会の見られ方を問いかけることが同居する作品です。後の《フォリー・ベルジェールのバー》と、女性がこちらを向く距離を比べることもできます。
出典・画像について
画像:エドゥアール・マネ《ナナ》/Édouard Manet / Wikimedia Commons(平面作品の複製)
Commons個別ファイルのPublic domain表示を確認した平面作品の複製。全景を保ちWebPへ縮小。国・地域によって扱いが異なります。
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この画家について本で読む
エドゥアール・マネを見つめて
エミール・ゾラ 著/林 卓行 監訳/神田 由布子 訳 / 東京書籍
マネを擁護した同時代の作家ゾラの文章を軸に、人柄、作品、公衆との関係を代表作とともに読める入門書です。
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