演奏を止めた老人と、都市の周縁に生きる人々。
何が描かれているか
中央の老人は岩のような台に座り、ヴァイオリンを膝に置いています。左には赤ん坊を抱く女性と二人の子供、右には帽子をかぶった男性たちがいます。音楽家が仲間のために弾く場面にも見えますが、弓は動いておらず、人々の間にもはっきりした会話はありません。一つの出来事より、それぞれの姿が並ぶことに目が向きます。
作品の見どころ
白い服の子供と、老人の暗い服が隣り合い、明暗の差が中央を際立たせます。人物は手前に大きく配置され、背後の空や木々には奥行きを作る細部が少なくなっています。全員を一つの物語で結びつけず、立つ、座る、抱くといった姿勢を比べてみると、それぞれの存在感が分かります。画面外へ続く人物も、構図の一部です。
制作背景
1862年の油彩画で、ワシントン・ナショナル・ギャラリーに所蔵されています。所蔵館は、都市改造が進むパリで周縁へ押しやられた貧しい人々と、この集団を結びつけて解説しています。誰が誰の家族なのかを決めつけるより、社会の中心から外れた人にも大きな画面を与えるマネの選択に注目したい作品です。
出典・画像について
画像:エドゥアール・マネ《老音楽家》/Courtesy National Gallery of Art, Washington
所蔵館がCC0で公開した図版。全景を保ちWebPへ縮小。
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この画家について本で読む
エドゥアール・マネを見つめて
エミール・ゾラ 著/林 卓行 監訳/神田 由布子 訳 / 東京書籍
マネを擁護した同時代の作家ゾラの文章を軸に、人柄、作品、公衆との関係を代表作とともに読める入門書です。
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